歯茎から膿がでる!歯が動いているみたいで噛みにくい!
①歯茎からの排膿は病気のサイン
歯茎から膿が出ているということは、日頃から出血や臭いなど気になる症状がでていることと思います。
一言で「膿が出る」といっても膿の出かたで病状が異なることがあります。
そこでまず、膿が出ている部位に応じて、症状を2つに分けたいと思います。
▽歯と歯茎の間から膿が出ている
鏡をのぞいて、どこから膿がでているのか、よく見てください。
歯と歯茎の間、「歯周ポケット」という部分であれば、「歯周病」の可能性があります。
しかも、膿が出ているということは、歯周病の病状はかなり進行している可能性も高いのです。
「膿が出る」というのは「化膿している」ということでここに至るまでに、炎症の期間があり、病状が進行した結果として「膿が出る」わけです。
最近ではあまり使う言葉ではありませんが「歯槽膿漏」という方がわかりやすい方もおられると思います。
「膿が出ている」ということは、「歯茎の腫れ・出血」などの症状が以前からあったにもかかわらず、治療を受けずに放置してしまった結果ということになります。
ですから、少しでも早く治療を開始することをお勧めします。
▽歯茎にある「いぼ」のような塊から膿が出ている
歯茎の平らなところに「いぼ」のような塊があって、その部分から「膿が出ている」のであれば、「歯の根っこの先に炎症がある」可能性があります。
すべてが当てはまるわけではありませんが、このような場合は歯周病ではない可能性もあります。
このケースでは、「根尖病巣」という炎症の結果として膿が出ていると考えられます。
「根尖病巣」=「根の先に炎症がある」というのは、以前に歯の神経をとるという治療を受けた経験がある歯の根の先に起こることが多いのです。
炎症が、ある程度大きくなるまでは、無症状で進行しますが、人によっては噛む時の違和感や痛みを感じる方もいます。
しかしそのままにしておくと、ある日歯茎の腫れ、痛みとともに「いぼ」の様なふくらみになります。そして膿が出るようになるのです。
この場合の治療は、根の治療が必要です。
ある意味、歯周病の治療よりも手間がかかります。
かぶせ物をはずして、根の治療を行い、その後改めてかぶせ物を作り直す必要があります。
根尖病巣が治癒すると、膿が出なくなり、いぼのような塊も消えてしまいます。
②歯の動揺と咀嚼時の痛み
歯周病の症状には、歯の動揺や咀嚼時の痛みというものがあります。
歯が動いているような気がするという、不思議な感覚にとらわれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、硬いものを噛んだ際に痛みを感じる患者さんもいらっしゃいます。
ポイントは痛みがどのように出ているかということです。「歯は動いていないけど噛むと痛い」と「歯が動いていて噛むと痛い」では、痛みの原因が違います。
▽歯は動いていないけど噛むと痛い
「歯は動いていないけど噛むと痛い」という状態は、先ほどの「根尖病巣」などの根の先の炎症やむし歯などが原因で痛みがでていることがほとんどです。
この場合は歯槽骨には問題がありませんから、「グラグラ」することはありません。むし歯や根尖病巣の治療を行うことで症状は改善します。
▽歯が動いていて噛むと痛い
「歯が動いていて噛むと痛い」という状態は歯が動くことが痛みの原因なのです。
歯は「歯槽骨」という骨が支えていますから、その支える骨がなくなると「グラグラ」してきます。この歯槽骨がなくなるという状態は、かなり深刻です。
骨は数日で無くなるということはありませんから、時間をかけて少しずつ失われていきます。
歯周病の怖いところは、無症状で進行していくということです。
始めは歯茎からの出血など、症状としてはわずかなものだったはずですが、放置してしまうことで、結果として骨が失われてしまうのです。
当然、歯を支えることもままならないわけですから、硬い食べ物を噛むということはできなくなります。つまり、歯が動いているということは歯周病がかなり進行していることを意味しているのです。
治療は長期間にわたることも考えられますので、できるだけ早く専門家に診てもらう必要があるといえます。
・歯がグラグラするという症状に関しては次のコラムも参考にしてください。